工芸うるし

  • 鎌倉彫りに、工芸うるしの(黒)を2回塗り、鎌倉赤を塗ったところ、黒の色に負けて鎌倉赤の色がきれいに出ない。
    原因は何か。

    黒は色の中でも“他の色に影響を与える力”が最も強いため、黒を下塗りした場合、上塗りの色は黒の影響を受けないようになるまで塗り重ねをする必要があります。

    鎌倉赤の隠蔽性(下を覆い隠す力)からすると、2~3回の塗り重ねが必要となります。

  • 油性の工芸うるしを使用している。
    黒は比較的保存性がよいが、赤や朱赤は固まりやすく、特に透明が固まりやすい。同じ塗料なのにどうしてか。

    油性の“工芸うるし”に使用しているの樹脂は、酸化重合反応が強く、空気中の酸素に触れると反応が進んでいきます。
    容器内でも、まず塗料の表面に皮張りを起こし、次第に中へと固まりが進行して、いずれは全体が固まってしまいます。

    この変化は容器内の空気が多いほど進みやすいため、塗料の残量が少ないほど硬化しやすくなる傾向があります。
    また、色によって硬化の差があるのは、顔料と樹脂のバランスの違いがあるためです。

    一度開缶した後は、ふたを閉めるときに塗料の表面にペイントうすめ液を垂らして表面の硬化を阻害し、低温下に保存すると保存性が良くなります。

  • 木がやせて隙間ができたので、鎌倉赤で埋めた後、黒を塗りさらに鎌倉赤を塗った。
    縁を塗る時に刷毛のかえし時に大きな泡になり、いったんは消えたかに見えても、乾くと小さなツブツブができていて、触れるとザラザラになっている。
    きれいに仕上げるのには、どうすればよいか。

    原因は、2つ考えられます。

    1:乾燥が不充分で、悪影響が出た可能性
    鎌倉赤→黒→鎌倉赤と塗り重ねをした時に下地が充分乾いていなかったため、最後の鎌倉赤を塗ったあと乾燥していく間に、下の塗膜の溶剤が蒸発しようとして上塗りの塗膜の中に入り込み、細かい泡を形成したことが考えられます。
    この場合、1回、1回の乾燥時間を充分にとり、サンドペーパー(#400)での研磨をはさみながら、塗り重ねていくとよいでしょう。

    2:一度に厚塗りをしないことと、ハケさばきが重要
    ハケに必要以上に塗料を含ませすぎると、厚塗りになりすぎ、塗面に溜まりができたりして、塗膜が不均一になることがあります。
    塗膜の表面が乾燥しても内部は乾いていない状況になると、後から内部が乾燥するときに、空気が表面に出てきて泡になります。
    ハケは、容器のふちでしごき、余分な塗料をおとし、必要以上に含ませないように注意しましょう。

  • 仏壇の角などが少し剥がれてきているので、“工芸うるしか“水性工芸うるしを上から塗ってもいいか。

    仏壇に塗ってあった塗料の種類と性質によりますので、目立たない部分で相性(密着するか)を確認し、問題がない場合のみ塗装してください。
    相性の確認手順は下記を参考にしてください。

    塗装済みの木部へのニスの塗り方